ぴーんぽーん



「はーい」



そうして呼ばれて、渋々とコタツを離れて寒い廊下を小走りに、舞織はドアを開けた。


満面の笑みした宅配のお兄さん。

負けじとニッコリと微笑めば、お兄さんは赤かった頬を更に赤くした。



「ぜ、零崎人識様にお届け物です。ここに判子お願いできますか?」

「はーい」

「…はい、ありがとうございます。では、失礼しましたっ」

「ご苦労様でしたー」



去っていくお兄さんの背中を見遣ってから、吹き荒ぶ風に肩を竦めて、舞織はドアを閉めた。


届いた小包の名前に目をやると……

くらくら

「ひーとしーきくんっ」

「…んー?」

「お届け物ですよー」

「んー」



リビングに戻って、コタツでぼんやりとまどろんでいた人識に小包を渡す。



ああ眠い とコタツに潜り込む人識の頭の辺りに置いてある小包に目をやりつつ、舞織も、いそいそとコタツに入り込んだ。



「…今度は何を通販したんですか?」

「…んー、知りたい?」



にたり と意味深に笑う人識に、舞織は、コクコク と頷いた。



「です」

「夜 な、…兄貴達が寝た頃に俺の部屋来いよ」



したら特別に教えてやるよ と最後の方は、コタツの中で声がしていた為か、くぐもって聞こえた。



「…起きてられますかね」

「今寝とけば大丈夫だろ」



人識と同じように寝転んで、んん と悩み声を上げる。


包みの中身はとても気になる。

けれど、不規則な生活は体に毒なのだ。



でも…



「とっておきの物だぜ?」

「お休みなさい」

「おう」



ニヤリ と笑う人識の顔に、その包みへの興味心がより一層強まってしまった。

もぞもぞと体勢を変えて目を閉じれば、ふわりと人識に抱き込まれる。


そしてそのまま

寄り添うように、寝入ってしまった。