一番存在しないと思ってた感情が、今ここに存在する事は


それ程悪くないって 思えるぐらいに、愛しいお前

暖取り

重ねても重ねても足りない口付けを、幾度も交わしながら、寝着を脱がしにかかる。


焦るなって方が無理な話で、口付けの合間に漏れる艶っぽい吐息が、この上なく人識を刺激した。



「…舞織、」

「ん、ぅ 人識くん…っ…あ っ」



唇に触れていたソレが、頬、顎、首筋、鎖骨…と段々下りていく。


一つ一つの口付けに、体を跳ねさせて反応する舞織に気を良くして、首筋にきつくしてやれば。

服の裾をギュウと握って、懸命に堪える姿がまた犯罪で、下腹部がジワジワと熱を持っていくのが分かる。



「あ、と、…付けないで下さいよ」

「ん、良いだろ、別に」

「よ、良くない…体育の時とか、は、恥ずかしいんですよ?」

「じゃあ、見えないトコな」



ボタンを外し終えたソレを、左右にはらりと退けて、下着も、プチリ とホックを外して体を包む布を全て取り除く。

現れたその胸は未だ発展途上ではあるが、俺がここまでしてやったと言えば何ともいえない満足感。


柔らかな乳房に、ぬらりと舌を這わせると、舞織は先程よりも大きく肩を竦めた。



「んとに、どこもかしこも冷たいんだな…」

「…ッふ…ぅ あっ」



そっと触れた掌からも、這わせた舌からも、舞織の冷えた体温が突き刺さる。


温めるように乳房を念入りに愛撫してやると、舞織は堪らないとでも言うように、人識の頭を掻き抱いた。



「…っや、人識く…っあぁ…ッッ!」

「ん?良い?」

「っ やっ、いやっ…変に…ッ…ひゃぁ あ!」

「ほら、湿ってんぜ?」

「ううっ…あぅっ あっ、あぁっ」



突端を甘く噛んでぐったりしたところで、片方の手が、胸を下り、脇を撫で、ズボンをずり下げつつ、太腿の柔らかさを堪能する。


足の付け根へと手をやって、下着の上からソコを撫で上げると、舞織はビクビクと背を仰け反らせた。



「ん、濡れてる」

「ッ言わな…っ ひゃ!あっ あっ!く、ぅ…ッ!!」



下着を取り払って、秘所に指を這わせる。

指先で花弁を押し開いて、しとどに濡れそぼったソコに一本、指を挿入する。


ほろほろ と涙を零すその姿にさえ、ぐらぐら と



「舞織…」

「ん、む…っ…んんぅ…ッあ あぁっんん…ッ」



強請るように口付けて、舌を絡めて存分に口内を貪る。


その間も休まる事無く指は中を蠢いて、舞織は苦悶と悦楽を入り交えた表情で嬌声をあげる。



「…は…ごめ、…我慢、できないかも」

「ん、んぁ…っふ、むっ」



挿れ込んだ指を中から抜いて、てらてら と光り濡れるソレを舞織の口に含ませた。


指に絡まる、ざらり とした感触にゾクゾクとしながらも、人識は、猛った己の欲情をズボンから取り出す。



「良いよ、もう」

「…ん、」



ちゅ と濡れた音を立てて、離れた指を自分自身でもう一度舐めて見せる。

そしてそのまま、舞織の耳元で、間接キスだな と囁いた。



「……何でまたそういう…」

「かははっ」



間接キスどころではない現状にも関わらず、舞織の頬は桃色に染まる。

それがとても愛しくて可愛らしくて、人識は満足気に微笑んで頬を、ソッ と撫でた。



「…力、抜けな」

「ん、…ッ」



花弁に擦るように触れれば、ビクリ と舞織の体が強張った。

シーツを握り込んで白くなってしまった両の手を解いて、自分の手と絡める。



「大分、温まったな」



絡んだ手からは多少の冷たさは感じるものの、先程よりは断然に温かい。

その事に安堵して、人識は舞織の手の甲に、ソッ と唇を落とした。



「…う ん………ッ、ひ…んんっ」



舞織がその様子をボンヤリと眺める隙を狙って、熱く聳り立った自身の雄を舞織の中へ中へと挿入していく。



「あっ あぁっ…ッや、あっ…つ…ぅ…っ」

「…ッ……あと、少しだから、力、抜けっ」

「んんっ、あ あっ!壊れちゃ…っ」



子宮に当たるその感覚に、涙を浮かべて恐怖を訴える舞織を宥め賺して、時間をかけて挿れていく。


漸く全てが納まって、そしてソレは息付く暇もなく人識に襲い掛かる。


ふるふる と震えて、ソレに耐える姿のなんと艶めかしい事か。



きつく閉じた瞳のその目尻から零れ落ちる涙も

歯を食い縛って唇を噛むその姿も

頬の高潮も握るその手の力強さと震えも……



この世の全てから守ってやりたいという庇護欲と

もっともっと泣かせて怯えさせて、どんな表情をするのか見てみたいという加虐心と

閉じ込めて、俺だけのものにという独占欲を、煽りに煽る。




愛しい 愛しい




壊してやりたい 守ってやりたい 独り占めしたい



「舞織…っ」

「…?人識く…ッ―――っっ!ああぁあっ!!」



円を描くように、律動を繰り返し繰り返し


悲鳴に似た嬌声が、心地良い



「やっ、人識くっ、待っ…ひああっ あっ!ああっ」

「舞織…ッ」



ぐちゅぐちゅ と結合部から漏れる水音も、恍惚として鼓膜を震わせる。



「…は、っ…舞織……ッ」

「っう、んっ、あっ…ッや、も…っ!」



ぼろぼろ と頬を伝う涙を舐め取れば、舞織は小さく儚く微笑んだ。

その姿が、また色っぽくて



最後の方は、舞織を気遣う事も忘れていた――


* * *


「……舞織、…舞織」



ぺんぺん と頬を数度叩いても、体を揺すっても、ぐったりとしたまま舞織は動かなかった。



「…まぁ、こういう日もあるよな!」



数秒考えあぐねて、今ここで起きられても怒られるのは目に見えているので、そのままにしておく事にした。


疲れたー と盛大にベッドにダイブすれば、温もりを求めてか、舞織が、ころころ と擦り寄ってくる。



「冷えるの早ぇな、おい」



触れたところが鳥肌の立つような冷たさ襲われ、人識は眉を顰めた。



「ったく……」



慈しむように髪を弄り撫でて、これからは暫く一緒に寝てやるか… と一人そう考える。




今はただ、この冷たさが少しでも和らぐようにと


舞織を抱き締めて、人識は静かに眠りについた。