「うん、やっぱり…美人になったね」 輪郭 無意識に向いて出た言葉は、具合悪そうにベッドに座る英士にも届いたようで、ちょっと渋った顔をされた。 「…ユン、そんなしみじみ言われても嬉しくないものは嬉しくない」 「あは、褒めてるんだから喜んでよ」 「喜べない」 「…ま、分からないでもないけど…ヨンサは美しいだとか綺麗だとか、和ってカンジだよねえ?」 「…はぁ…さっきから一体何を…」 「ん?だからさ…」 そう言葉を切って、潤慶は英士のいるベッドへと腰掛けた。 真剣なその瞳に英士が思わず体を引いたその時、ノックが聞こえてきた。 「はい?」 「二人とも紅茶で良かったかしら」 「ありがとう、お母さんの淹れたものなら何でも」 「まぁ、嬉しいわ。それはそうと、英士、大丈夫なの?」 「ああ、平気だよ」 「なら良いけど…潤慶は今日泊まっていけるの?」 「はい、お世話になります」 じゃあお母さん腕振るっちゃうわねとそんな話のやり取りをする二人を横目で見、英士は静かに息を吐いた。 先程の潤慶の瞳、真剣であると同じく、ギラギラと光るものが見えたのは気のせいだったのだろうか… 気のせいだと信じなければ、多分、やっていけない。 英士は首を振って、手渡された紅茶を一気に飲み込んだ。 |