習慣となってしまうと、恐ろしい。 それが無いと、酷く不安になる。 どうしようもなくなる。 叫びたく、泣きたく、なる。 まるで精神安定剤。 まるで麻薬。 貴方なしでは生きてゆけない。 02:さわって 苛々する。 酷く不安で。 泣きたくなる。 叫んで、暴れたくなる。 さっきからずっと。 …ううん、今日一日中ずっと。 凄く、泣きたい。 苛々して、不安で、泣き叫びたい衝動に駆られる。 何で? 意味分かんない。 「グズッ……ぅ……ひっ、く……」 「…え、……タク?…なっ、どうしたの?!タク?!」 「わかんな、勝手に涙が…っうぐっ、誠二ぃ、止まんないよぉ…っ!」 次から次へと溢れ出る涙。 ボロボロと頬を伝って、広げていたノートや服を濡らしていった。 「ちょっ、えーとえーとっ…………ッそうだ!!ちょっと待ってて!」 優しく髪を撫でて誠二は部屋を出て行った。 誰にも見られていない、という事からだろうか。 俺は、声を上げて、泣いていた。 それでも多少は理性が残っていたのだろうか。 嗚咽に近い泣き声しか出てこなかった。 アレから何分経ったのだろうか。 何時間かも知れないし、何秒かも知れない。 俺は寝てしまっていたのか、疲れて気を失っていたのか、ただボーッとしていただけなのか、俺はベッドの上にうつ伏せに寝転んでいた。 ゆっくり目を開けると、三上先輩がベッドの腰を下ろして俺の髪を撫でてくれていた。 何だか、胸の中のわだかまりが、イライラが、不安が、悲しみが、スーッと消えていった。 まるで、最初から何も無かったかのように、俺は、酷く落ち着いていた。 「目ェ覚めたか、アホ」 その時唐突に理解した。 「先輩が、足りなかった、のかも…」 「…かもじゃねぇだろ…にしたって一日会えなかったくらいで泣き喚いてんじゃねぇよ。俺、あん時の藤代に殺されるかと思ったんだからな」 「殺されちゃダメですよ、俺、泣き喚くだけじゃ済まなくなります」 あやすように髪を撫でつつ、先輩も寝転がった。 俺は、先輩の抱き枕のように、抱き締められる。 「済まなくなるのか、…じゃあどうなるんだ?」 「死ぬかも」 「嬉しい事言ってくれんじゃん」 死ぬのがじゃなくて、俺がいないと死ぬくらい寂しいって思ってくれてんのが嬉しいんだかんなと先輩は笑って付け加えた。 「もぅ…平気だと思ったのに……ダメだな、俺…」 「竹巳チャンはその日一日俺に触れてもらえないと泣いちゃう子だもんな」 「うん、…先輩いなきゃ、俺、ダメなヤツだから…」 「アホ、ここは怒るところだろうが。俺を悪モンにした上、喜ばせてどうする」 「でも事実だし」 先輩に触れてもらえなかった日は無い。 触れてもらえないと、気が狂ったように、おかしくなる。 でも、触れてもらった途端、大人しくなる。 なんてワガママで すごく端迷惑で とてつもなく都合が良い かなり最悪な俺。 髪を梳くように何度も何度もさらさらとされる。 本当に落ち着く。 ねぇ、先輩。 もっと、さわって。 会えない日があった時、寂しくなくなるように。 |