小話
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以前のぱちとか突発短編とか祝休祭ネタとか意味不明のとか、そんなカンジで。




最終UP…08/10




三笠 = 前ぱち 短編 日記

潤英 = 前ぱち

渋藤 = 前ぱち 日記 +1

成竜 = 前ぱち

昭一 = 前ぱち


















前ぱち in 三笠








05.06.25〜07.17



「あー、…とりあえず聞くけど…何してんだお前ら」

「暑さ対策っす!」

「そんな顔しないで下さい、意外と涼しいんですよ、これ」



にこっ、と笑うその笑顔。

押さえて抑えて堪えて。


ちょこん と後ろで結ばれた髪から覗く白い白い首筋、そしてうなじ。

暑い暑い とワイシャツをはためかせて、ひらりひらり と覗くこれまた白い腹。

頬を伝う汗を拭って、俺に微笑みかける。



「三上先輩も、やりませんか?」

「ぜひ」



二つ返事で返してみれば、驚く顔の藤代と笠井。

『やる』の意味が違うだろ と渋沢が後ろで涼しげに微笑んで言えば、その言葉に笠井はハッと頬を朱に染めて。

それから物凄いスピードで逃げられた。



……ちくしょう。





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新婚さんの生活 朝のお見送り編 05.05.26〜06.08



「そんな顔されると、休みたくなっちまうだろ」


それなら、休めば良い。

そう、思った。


玄関に男二人、立ち往生。

片やスーツに身を包み、片やエプロンに身を包み。


竹巳は、何よりこの瞬間を嫌う。

困らせている事は重々承知で、分かっているけど。


けれど、やっぱりとても寂しくて…


きゅう と亮の服の端を握り込んだ。



「…すぐ帰って来るから」

「…」

「…終わったら、ホントすぐ、帰って来るから」

「…」



ポンポン と頭を優しく叩かれる。

けれど、それがすぐに離れてしまって、温かさが消える。

辛くて悲しくて、亮の服に顔を埋めた。



「たくみー?」

「…約束」

「うん?」



呼びかけに、小さく返答すれば、その先を促すように、背中を擦られた。



「………すぐ、帰って、来るって…」

「ああ、約束な」



そう言われて、漸く少しだけ落ち着いた、気がした。



ゆるりゆるり と離れて、多少無理矢理に笑顔を作れば。



「いってらっしゃい」



亮も切なげに笑んでみせた。



「うん」



唇が離れて。



そっと、慈しむように、口に指が触れて、見つめれば

優しく微笑む貴方がいた。



「愛してるぜ」





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05.04.10〜05.26



ぱらり、ぱらり



俺の隣で雑誌を捲るこの人は

一応俺の愛しい人で



口には出さないけれど

凄く凄く愛しい



口には出さないけれど

手を繋ぎたいなぁ、とか、ギュッってして欲しいなぁ、とか思ってる



怖くて、恥ずかしくて

口に出さないだけで。



それでも、無防備に、手なんか置かれてると

握っても良いかな…なんて、思って。


勇気を出して、触れてみれば


ビクリと反応されて

拒否された…と思って、手を離そうとしたら



「どうした?」



なんて

優しい微笑みつきで、離れかけた指を絡めてくれて



「なんでもない」



と俯く顔は

きっと真っ赤





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突発短編 in 三笠








05.09.23



「先輩」

「何だよ」

「大好き」

「…で?」

「で?って何ですか。それだけですよ」

「つまり何が言いたいんだよ」

「俺は先輩が大好きで大好きで、未来はどうか知らないけれど、今は大好きという事です」

「回りくどいな」

「先輩がストレート過ぎるだけですよ」

「ハッ煩ぇよ」

「先輩…」

「ンだよ」

「大好き」

「…俺も」





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05.04.25



指が絡む。

ゆっくり、顎を持ち上げられて、視線が絡む。


その真剣な瞳が怖くて、逸らしたくても逸らせない。



ドクドク煩い心臓の音を聞かれないかと心配で

掠れ掠れ、声を発する。


けれど、本当は、今の雰囲気から逃れたかったのかも知れない



「せんぱ、い…」

「ん?」



助けを求める視線を、微笑んで返されて、

否応無く、安心が俺を襲った。


その笑顔は反則だ。


逃げられなくなる…





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日記 in 三笠








05.05.09



「笠井、めちゃくちゃ愛してる」

「…どうしたんですか、急に」

「……こっちが聞きてぇよ」

「………先輩?……ねぇ、先輩」

「…んだよ」

「俺も、めちゃくちゃ愛してますよ」

「……サイアク…」



溶け合えたなら

一つになれたなら

どんなに素晴らしいことか…。





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前ぱち in 潤英








05.06.25〜07.17



うつらうつら

涼しい夕暮れ、まどろみの中、ピリリ、と短い電子音。

携帯の液晶には『李潤慶』の文字。



『…ヨンサ』

「ユン、どうしたの?」

『声、聞きたくなっちゃって…』



ごろん と寝返りを打つ。


はたはた とカーテンが風によってなびく。

夏の夕方は、結構涼しい。



「ユン…」

『なぁに?』

「夏になったら、遊びにおいで、一馬と結人が…」

『うん、僕も会いたい。絶対に行くね』

「…違う、俺が、会いたいんだ、よ……ユン…」

『知ってる。絶対に行くよ。ヨンサ』



君の笑顔が、思い出せないんだ。


だから

早く

早く





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新婚さんの生活 朝のお見送り編 05.05.26〜06.08



「行ってくるね、まいだーりんっ」



語尾に星でもぶっ飛んでそうな、明るい声で。

俺の髪を何度も何度も撫でる。



「それ聞いたの、今ので5回目なんだけど?」

「うん?やっぱりバレてたか。だってヨンサがさぁあ〜」



甘えったれのコイツは、僕に抱き付いて、寂しい寂しい と連呼した。



「僕が、なに」

「あんまりに可愛いからっ、離れたくなくって」



キャッ、言っちゃった! だなんて、気色悪い事この上ない。


けれど…



「僕も、そうだよ。だから、僕の気が変わらないうちに、早く行って、それで、早く帰ってきなよ」



言って、すぐさま後悔したその言葉は、ユンは一瞬表情を無くし、それから破顔した。



「―――ッッ愛してるよー!マイダーリン!」

「僕も愛してるから沢山稼いで来てね、マイハニー」

「任しといてよ」

「いってらっしゃい」

「うん」





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前ぱち in 渋藤








新婚さんの生活 朝のお見送り編 05.05.26〜06.08



「…克朗さん」

「ん、何だ?」

「浮気しないで下さいね」

「しないよ」

「女の人と遊ぶ約束も…しないで」

「ああ」

「話し掛けられても、あまり、微笑まないで」

「努力するよ」

「女の人に、あまり、触れないで。…触れさせないで」

「分かった」

「……ごめんなさい」

「何が?」

「…オレ、重い…かも…知れない」

「まさか、嬉しいよ」

「…うん」

「すぐに帰って来るよ、そうしたら一緒にご飯作ろうな」

「はい、…っはいっ!」

「行って来るよ」

「行ってらっしゃい!!」





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日記 in 渋藤













06.07.29



ずしり と重みを感じて、意識の浮上を余儀なくされる。


ゆっくりと目を開けると、ぼんやりとした視界に、めいいっぱいの顔が…



「……誠二…おまえ、人の上で何やってるんだ」

「お早うございます」

「…お早う…で、一体何を…」

「克朗さんて睫毛長いんだなぁーって」

「……」

「あはは、やだなぁ。そんな複雑そうな顔しないで下さいよー」



ホントは起こしにきたんですよ 珍しくお寝坊な貴方を と屈託なく笑うその頬に手を伸ばす。



「お前の方が長いよ」

「…?何がっスか?」

「睫毛」



きょとん とする誠二のその瞳に振れると、大人しく目が閉じられる。

と同時に影を作るその睫毛に触れると、誠二の口が少しだけ、尖らされた。



「……何となく、克朗さんが複雑そうな顔した気持ちが分かりました」

「ははっ、そんなつもりで言ったわけじゃないぞ」

「分かってますよ。で、もう起きますか?もう一回寝ますか?」

「…んー、そうだな…起きようかな。もう午後だし。…折角の休日、構ってやれなくて悪かったな」

「んもー、やだなぁ、改まっちゃって。じゃあ、早速ご飯にしましょう!今日は誠二特製鯖の味噌煮ハンバーグですよー!」

「はは、これまた前回よりも凄いアイディア料理だな……って…え?お前が作ったのか?」

「さてさてソコで問題です!今日は何月何日ですか!?」



じゃじゃん! と変な効果音付きで誠二が悪戯っぽく笑ってみせる。

とりあえず起きて顔でも洗いに行きたかったのだが、どうやら答えるまで退いてくれる気はなさそうで。


少し力を込めて起き上がれば、腹の上に乗っていた誠二が おわ…っ!、とバランスを崩す。

その腰を掴んで引き寄せて、そのままカレンダーに目を向けた。



「今日は……あ……」



今日の日付けには、ぐるぐるぐる と赤く大きな花丸が書き込まれてあった。

克朗さんの誕生日 と赤ペンで書かれてもあった。



「やっぱり忘れてたんだ!もー、自分の誕生日忘れる人なんて克朗さんぐらいですよー」

「代わりにお前が覚えててくれただろ」

「…う…」

「じゃあ、その朝飯がプレゼントなのか?」

「今ならオマケで新妻も付いてきますよ。どちらを先に頂きますか?」



ふふ と先程の無邪気さが一転して、艶やかに笑う誠二に、くらくらと眩暈がする。

どこでそんな目を覚えてきたんだ…笠井か?中西か?


けれどそんな場違いな考えはすぐに頭のどこかへと消えていく。



「…そんなの」



決まってるよ


密やかな、二人だけの部屋なのに、耳元に唇を寄せてソッと囁く。

甘い甘い誘惑には、勝てる気がしない。



ぴーんぽーん



「……」



今まさに、唇が触れようとしたところに、空気の読めないチャイムが響いた。



「……っ」

「うぅ…」



ぴーんぽーん ぴーんぽーん ぴんぽんぴんぽんぴんぽんぴっ

ゴッ



「あんたは小学生ですか!」

「竹巳は黙っとけ!どーせ今頃イイトコロなんだろ!ムカつくから朝飯でもご馳走しやがれ!」



ぎゃーぎゃーと玄関の方から聞こえてくるその声に、思わず二人で脱力する。



「…去年もこんなんじゃなかったですかー?」

「そうだな…また夜までお預けになるんだな」

「………はぁ…」

「……無視 するか」

「え!?い、良いんですか!?」

「いつまで経っても開かなきゃ三上だって諦めるよ。笠井だって傍にいるんだし」

「――――っ克朗さん大好きーっ!」



ワルだ渋いカッコ良いー! と甘えてくるその妻を、玄関のチャイムをBGMに、克朗さんは頂いたのでした。





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05.05.11



大きくて温かくて何もかも包み込んでくれる。


「だから俺、キャプテンの手って大好きなんです」

「…そうか…」

「はい、頭撫でられれば凄く嬉しくなるし、背中を強く押されれば頑張れる気がする。だから大好きです」

「…それはちょっと、悔しいな」

「…え?」

「俺の手に藤代を取られた感じだ。自分の手に嫉妬してしまうよ」

「……っも、もうキャプテンてばーっ冗談ばっかり!」

「ははは、本当だぞ?」

「もしそうだとしても、安心して下さい。俺はキャプテンが一番大好きっス」

「うん、それも困るな」

「…え、えぇ?!」

「俺自身に嫉妬してしまう」

「そっ、そんな嫉妬なんてしなくてもっ!キャプテンの手もキャプテンもキャプテン自身であって!

 えとっ、どれもキャプテンなんだから、だからー…あ、あれ?何言ってんだ俺…」

「ははは、可愛いな、藤代は」

「かっからかわないで下さいよー!」

「からかってないよ、俺はいつだって本気だ」

「尚更タチが悪いっスよ…」

「本当に可愛い、大好きだ」

「…えへへ、そんな事言われると、俺も自分自身に嫉妬しちゃいます。キャプテンに好かれて良いなぁ、俺」

「ははは」


「おい…」


「ん、何だ三上」

「まーだいたんスかー?」

「ッ――テメらが勝手に入って来て、ベトベトし出したんだろうがっ!!」

「ベトベトって…それより三上、今何時だと思ってるんだ?少しは時間を考えろ」

「…っ渋沢、お前は場所を考えろ」

「そんな細かいからタクに嫌われるんスよー」

「きっ、嫌われてねぇ!!」

「お母さんみたいに口煩くして、タクに絶交宣言されたくせに」

「なっ…!!」

「そうなのか?三上、あまり口煩いのはよくないぞ。相手の気持ちも尊重してやってだな…」

「――――ッッ出てけ――――っっっ!!!!」





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前ぱち in 成竜








新婚さんの生活 朝のお見送り編 05.05.26〜06.08



「んじゃあ、行くけど…ああやっぱ残して行かれへんわぁ」

「…早く行け」

「やってな!もしも!もしもやけど!勧誘のオッちゃんが来た時に、たっちゃんを見たらどう思うよ!?」

「…」

「ああもう、勧誘しに来て誘惑されてまうんや!たっちゃんがあんまりにかわええから!」

「早く行け」

「せやけどな!竜也!考えてみぃ!たっちゃんがお夕飯のお買い物に行ったとしましょ!」

「…」

「たっちゃんはかわええから、きっとどこへ行ってもオマケされサービスされ沢山持たされてしまうんや!」

「…」

「その重さに耐え切れなくて、たっちゃんが荷物の下敷きになってしまうんやないかと考えただけで!」

「シゲ」

「なん?」

「さっさと行け――!」

「…っはい!」





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前ぱち in 昭一








新婚さんの生活 朝のお見送り編 05.05.26〜06.08



「んでは、カズさん!行って来ますっちゃ!」

「ん。ハンカチ持ったか?」

「はい!」

「ティッシュ」

「はい!」

「弁当」

「はい!」

「財布」

「はい!」

「定期」

「はい!」

「携帯」

「はい!」

「時計」

「はい!」

「後はー…」

「ああ!」

「何ね、突然」

「カズさんを忘れとったばい!」

「…アホゥ」





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