蜜月
それは、ハチミツよりも甘い甘い、至福の時。
蜜月
部屋に響く。


ちゅっちゅって渋沢さんは、吸い付くような離れ難いようなキスをしてくるから恥ずかしくて嬉しくてむず痒い。

でも、やっぱり嬉しくって、自分からも啄むような、…そう、バードキスをしてあげる。


大きな、何もかも包みこんでくれそうな、温かな手が頬を包む。


息切れがちょっと苦しいけど、そんなのは幸せで埋ってしまう。

ああ、この幸せを、伝えたい。



「渋沢さん、ん、…んぅ、」

「ん?何だ?」

「ふ、ぁ…っ…あ、のっ……っんく、…ちょ、…喋らせて下さいよおっ、…」

「それは無理な願いだ。1秒でも離れ惜しいんだ…」



伝えたい。



胸が苦しいってこと。

涙が出そうだってこと。

大好きだよってこと。



「好き」

「知ってる」



ペロリと涙を舐められた。



「甘いな…」



耳元でそうやって囁いて。





愛しくて

愛しくて

息をするのも忘れそうだった。