「、ぁ う…っ!」



ちゅ と太股の内側に唇が押し付けられて、舞織は思わず半身を起こした。

が、すぐに制されて、またベッドへと逆戻り。



「怖がるなっちゃ」

「…っ」



だったらそのギラギラした目、何とかして…!

約束

「舞織…」

「、ひ っ」



大きな体が、ずしり と乗ってきて、舞織は思わず体を縮込めた。


その大きな体とは裏腹に、大きな手がまるでガラス細工を扱うように優しく髪を、頬を撫で、触れるだけの口付けを落とした。

甘く掠れた声が耳に響いて、脳髄が、どろどろ…と。



「怖がるな」

「…っ」

「……はぁ…」



無茶言わないで欲しい、と舞織は内心毒づく。

そうと知らない軋識は、ぎゅう と目を瞑り体を震わせているその仕草に非常にそそられつつも、
一番好きな瞳が見れない事が、瞳に映る自分が見れない事が、惜しくて堪らない と心の中で舌打った。



「舞織…」

「っ、ん、ぅ…ふ  ぁ…」



言葉でダメなら、行動で と瑞々しいその唇に食い付く。

それでまた、びく と肩を竦ませたので、抑えて抑えて と脳内で必死に言い聞かせる。


怯えさせるな。

体じゃない、自分は心が欲しいのだ。

愛したいんじゃない、愛し合いたいんだ。


自分に言い聞かせて、何度も何度も、口付けを。


絡まる舌に、響く水音に、下腹部に熱が集まっていくのが分かった。

けれど、ここで我を忘れて本能のままに求めては、それこそもう二度と顔も合わせてくれないかもしれない。


と、そこでおずおずと背中に手が回る。

ゆっくりと目を開ければ舞織と目が合った。


びくり と思わず身を引かれるが、逃がす気はない。



「舞織」

「…っ」

「舞織、」

「ああもう、何ですか!」



恥ずかしそうに、それでも諦めたように、強い口調で返事が返ってきて、思わず口元が緩む。



「大好きだ…」

「……それは…どうも…」



更に顔を赤らめて口篭る舞織に、くつくつと笑いが漏れる。



「目、閉じるなよ」

「…え…?」

「お前の目が、一番好きかも知れない…」

「…かも?」

「とにかく閉じるなっちゃ」

「…分かりました」

「よしっ」



わたしの誕生日なのに と不平不満を述べるその唇に、自分のソレを押し当てる。

愛してる と込めて。