可愛らしく


鳴いて

泣いて

啼いておくれ

にゃんにゃんにゃん

「んっ、ぐ…っ…」



くちゅ と水音がしたと思いきや、人識の細い指が舞織の中へと挿れられた。

数回擦られただけなのに、そこからは、とろとろ と愛液が溢れ零れ、人識の指を濡らしていった。

その愛液によって、人識の指は難なく舞織の中へと挿れ込まれる。



「さっきいっぱい弄ってやったもんな。簡単に入ったぜ?」

「っふ…ぅ……ゃっ、あ!」



クリッ と指を曲げると、舞織の体が、ビクリ と仰け反れば、首の鈴が、ちりん と音を立てた。


赤色の首輪がよく映える白い首に、人識は舌を這わせる。



「っ…痛ッ……んっ あ、ぁ…っ」



少しキツめに吸い付いて唇を離せば、思惑通り赤い鬱血ができた。

舞織の静止の言葉が放たれる前にと、挿れ込んだままの指で、中を、ぐちゃぐちゃ と掻き回す。


ぽろっ、と涙が一粒、舞織の頬を伝った。



「泣かないで鳴いてくれよ」

「っ…ぅ…ああっ、ひとしきくっ…あっ ぁっ、」

「俺、猫語しか分かんねぇんだよなぁ?何て言ってるんだ?…あ、指もう一本増やして欲しいとか?」

「ちっ、違っ、痛ッ…ひっ、ああっんっ…」



首を横に振る舞織に、ニコリ と微笑みかけて、指を一本、続けてもう一本、計三本挿れてバラバラに動かす。


舞織は始め、痛そうに顔を歪めるものの、それは段々と悦楽の色へと変化していく。



「なぁ?あんたは今何を思ってる?気持ち良い?痛い?もっと?」

「っ、ぅあ…っ ひとしっ ゃっ、も…ォ!」

「言ってくれなきゃ分かんねぇよ」

「っあ…っ、もっ…イっちゃっ……ひとしきくっ…」



恥ずかしさからか頬を染めて、言っている言葉に羞恥を覚えて、舞織は人識の首に縋りついた。

けれど、人識はソレを呆気なく払い退ける。

舞織の体が再びベッドへと沈み込んだ。



「………ああ、そっか」

「ッん、っぁ………………へ?」



忘れてた、と一言そう言って、人識は舞織の中から指を抜いた。

達する寸前で寸止めされてしまった上に指を抜かれ、舞織は呆然と、けれど、ビクリ と敏感に反応をして見せた。



「あれー、どこいったー?」



ベッドから降りて何かを探している人識を、見遣る。

熱を保ったまま疼いてやまない中心に、手をやりたい衝動を抑えて、極力平静を装った。



「ひ、人識くん?」

「だから猫語じゃないと分かんねぇっつってんだろーが」



不機嫌さを隠そうともしない人識の言葉に、舞織は困ったように眉を下げた。

仕方なく、言い直す。



「な、何してるんですか、にゃん?」

「んー、尻尾探してんの」



床に這い蹲って、ベッドの下を覗き込んでいるだろう人識の声は、先程と打って変わって上機嫌。

あまりの現金さに苦笑いが零れた。


けれど、そんなほのぼのとした空気とは裏腹に、舞織の下腹部は、ずくんずくん と疼いていた。

我慢できないと人識にバレぬよう、そろり と下肢に手を伸ばしたところで



「舞織ー、勝手に弄ってイったらお仕置きだからなー」

「うー…」



牽制を掛けられて、仕方なく手を下ろした。



「お、あったあった」



どうやらお目当ての物は見つかったらしい。

やっと再開だと、ホッ とする反面、安堵しまった自分がとても恥ずかしい、と舞織は顔を俯けた。



「ん?どうした?」

「別に…」



よっこらせ と年寄り臭い台詞と共に、人識がベッド上がる。

ギシッ とスプリングが小さく呻いた。



「待たせちまって悪かったなー。今、カンペキな猫にしてやるからな」

「完璧?…っうあっ?!」



何が? と聞く前に、人識の手によって舞織の体が易々と反転させられる。


突然うつ伏せにされ、何事かと目を白黒させている舞織を他所に、人識の手が舞織の膝を立たせる。

上半身は起こさないようにと、背中を手で押さえつけられた。



「腰、もうちょい上げて」

「え、ちょ…っこんな格好、嫌ですよう!」



腰を人識に突き出すような格好に舞織は泣きそうな声を上げる。


まぁ、それで人識が止めてくれるはず無いのは重々承知だが、叫ばずにはいられなお。

せめて、立てた膝を崩してうつ伏せになりたいと暴れる舞織に人識が力技で押さえ込んだ。



「ひっ、人識くん!ズルイですよ!!女の子相手に本気出すなんて!」

「あーあーうるさい。猫語以外喋んな」

「うぅっ…ず、ズルイにゃあ!早く私から退くにゃあ!!」

「可愛いけど、聞いてあげられない願いだな」

「猫語の意味がないですよう!!」

「はいはい、これ挿れたら座らしてやるから。ちょっと待て」



挿れる という言葉に舞織が、ピタリ と動きが止まる。



「ま、まさか…」



恐る恐る首を捻って、人識の方へと目をやる。



「ご名答」



にっこり笑顔で、ソレを舞織に見せた。


尻尾の先端は変わらず、ちりちりと鳴るリボン付きの鈴が。

けれど反対側の先端には、ソレが付いていた。



何を隠そう、バイブだった。



「いーやー!」

「あっ、てめ!暴れんな!」

「今暴れずにいつ暴れろと!?」

「イヤ、暴れるなよ」

「やだーっお兄ちゃん軋識さん、助けてええ!!」

「おいおいおい、呼ぶなよー。本当に来そうだから」

「来て欲しくて呼んでるんですよう!お兄ちゃあん!!」

「ああもう、うるせえ」



怒りを露わにする舞織を他所に、 人識はもはや履いている意味が分からないスカートを捲くり上げた。

曝け出された瑞々しい尻に誘われるままに舌を這わせる。



「やっ、やあ!」

「挿れるぞ」

「…やっ ま …あっ、あっ あぁあっ」



ぎゅうう とシーツを握り締める舞織をチラと一瞥し、ぐちぐち と粘着質な音に混じえて、ずぶずぶ と異物をナカへ挿れていく。



「ひ、人識く…っ」

「ん、もうちょい」

「っん、あ も…だめ…っ、はいんな…っ」

「お、入った入った、大丈夫そうかー?」

「あ、や…変な…感じ…っ――ッひああああぁっ!」

「あ?…なに、どした?」

「や、待っ…やっ やめっ やあぁっ」



突如体を強張らせて達してしまったかと思いきや、舞織は切なそうに甘く悩まし気な声をあげる。

そんな舞織に、思わず、ごくり と唾を飲む人識。



「お、おねが…っ、とめ…てぇ!」

「は?」

「止めて下さい、にゃあ!――――っっ…あああぁあ…っ」

「……って…、…悪ィ…」



リモコン踏んでたわ と人識が自身の膝を上げるのと同時に、舞織は息も絶え絶えベッドに沈み込んだ。


尻尾から繋がる細いコードの先には掌に納まる小さなリモコン。

どうやら知らず知らずにリモコンを踏んでバイブを起動させてしまったらしく。


このやられ具合から察するに……レベル五…?



「舞織…気絶してないか…?」

「…ハァ…ハァ……し、死ね…」

「大丈夫そうだな」

「どこがですか!」

「悪い悪い、ちょっとしたアクシデントだよ」

「それが人に謝る態度ですか!」

「あー、悪かったって、マジで。…今日はもうコレではしねぇよ」

「え?」



また今度な と人識が尻尾を握り締めて、ずぷ とバイブを抜く。


んっ と小さく漏らされたその声に人識は溜息を吐いた。



「……って、もうコレでは…って?まだやるんですか…?」

「おー、俺がまだイってねえだろ」

「うなぁ、やり殺される…」



ぐたり と疲れの色を浮かべた舞織は、傍目には酷く扇情的で、また、ごくり と唾を飲む。



「俺もそんな長くもたねぇから、もうちょい付き合えって。終わったら本当にいちゃいちゃしようぜ」

「…………うん…」



そう呟くその声に、人識は口付けて応と返した。